小田代が原のホザキシモツケとイブキトラノオの群生
小田代ヶ原のハイキングコースを、歩いてきました。2年前に栃木県に越してきてから、3回目です。2度は、秋の紅葉時、10月の中旬、もう1度は、5月13日、奥日光はまだ芽吹き前のことでした。
奥日光の紅葉時の「いろは坂」は混雑で動かなくなります。それを見越して、戦場ヶ原の赤沼駐車場に、8時前に着くように出発したのだが、それでも駐車場所が、やっと確保出来たような状態でした。
10月12日というのに、朝の赤沼付近はもう霜が降りていて、晩秋を感じさせる寒さだったが、風ひとつ無く、朝の光が静かにそそいでいる空気の中で、私たちは山の靴を履き、身支度を整えました。
小田代ヶ原にと向かう、戦場が原のミズナラの林の中は、樹の精に身も心も包まれたように気持ちがよく、この感触が忘れられずに私たちは山に来るのだと言う思いが、ふつふつと湧き上がってきます。
日光近辺は、鹿の増殖が著しいとのこと、小田代ヶ原の自然を鹿から守るためにと、小田代ヶ原は金網で囲まれ、回転扉から入らなければならなくなっています。なんとも悲しい自然です。
その回転扉から入って行くと、彼の有名な貴婦人の白樺は、三脚を立てたカメラマンのために、ポーズを取り続けていました。
私たちは三脚は持ってこなかったが、やはりカメラのレンズを貴婦人に向けてから、小田代を遊歩道にて散策したが、草紅葉も過ぎた風情で、冬に向かう小田代は、ひっそりと静まり返っていました。
30数年前、まだ木道も無く、自然が溢れていた小田代ヶ原を歩いた記憶が、夢のような懐かしさで蘇えって来ます。 あの広々とした静けさは、もう決して戻ってはこないと思いながら、木道を歩いて湯滝にと向かいました。
戦場ヶ原から湯滝にと向かうコースは、奥入瀬渓流を思わせるような風情で、せせらぎの音が身にしみてくるようでした。
湯滝は車で来た人たちで溢れ、紅葉の中の滝の景観をカメラに収めたり滝を背景に写真を撮ったりしていました。
ここで少しの休憩を取った後、戦場ヶ原の自然研究路を通りました。
この辺は、高山植物の特別保護区域になっており、今度は、花時に訪れる楽しみを残しつつ、木漏れ日の美しい林の中を歩いて、赤沼駐車場にと向かいました。
2002.10.24 記
殖えすぎを憂うるは人の声にして駆けゆく鹿のしなやかな脚
趣味の短歌より